不妊症の定義とは
不妊症とは、避妊せずに夫婦生活を続けていても、1年以上赤ちゃんを授からない状態をいいます。もともとは2年以上が基準でしたが、2015年8月から1年に短縮されました。
一般的には、避妊をしなければ、約8割の夫婦が1年以内に赤ちゃんを授かるとされています。そして、2年以内まで範囲を広げると、約9割が赤ちゃんを授かるといわれています。中には1年で約9割、2年で約10割が妊娠すると考える立場もあり、一定期間妊娠しなければ不妊症と定義されているのです。
また、妊娠はするものの、流産や死産をくり返してしまう場合は「不育症」と診断されます。不妊症と不育症では定義が異なり、治療内容にも違いが出てくるため、区別しておきましょう。
不妊症の原因とは
不妊症では、女性側の原因、男性側の原因もあれば、双方に原因がある場合もあります。不妊治療を受けるには、具体的な治療内容を決める前に、ご夫婦で検査を受ける必要が出てきます。
女性の場合は、排卵が起こらないことが原因となって不妊になる場合があります。また、卵管が炎症を起こしていたり、子宮頸管の粘液が少なかったりすることが原因となる場合もあります。子宮形態の先天的な異常、子宮筋腫などの病気によって妊娠が妨げられることもあるなど、原因はさまざまです。
そのほか、精子を攻撃する抗体を有している場合には、精子が卵子まで到達できず、妊娠できない状態になるケースもあります。これは、体が精子を異物とみなしてしまう免疫系の異常が原因となります。
男性の場合は、無精子症、乏精子症の人もいれば、精子は作られるものの運動性が乏しいという人もいます。精巣の温度が高くなることが原因のこともありますが、特に明確な原因がない場合もあります。そして、精神的なストレスや妊娠に対するプレッシャーなどから、勃起障害、膣内射精障害を引き起こす男性もいます。
このように、男女ともに不妊の原因として、さまざまなことが考えられます。不妊治療の内容は、原因やご夫婦のご希望を考慮しながら決めていきます。
男性側の原因、女性側の原因があるため、不妊症の検査はご夫婦で受けることになります。ご夫婦で共に不妊治療に向き合っていきましょう。
不妊治療の種類や内容は幅広い
不妊治療の内容は幅広く、比較的簡便な方法もあれば、技術を要する高度な方法もあります。段階的に治療の内容を検討していくことが基本となります。
検査の結果にもよりますが、まずはタイミング法から不妊治療を始めることが一般的です。タイミング法は、妊娠しやすい日を特定し、排卵と射精のタイミングを合わせる内容となっています。ご家庭でも基礎体温から排卵日の目安は把握できますが、超音波検査で卵胞の大きさを調べ、より正確にタイミングをとらえます。
それで結果が出なければ、次は人工授精を検討することになります。人工授精は、精液を採取して、妊娠しやすい時期をめがけて子宮内に注入するという内容です。
人工授精よりも高度な治療法として、体外受精や顕微授精というものがあります。体外受精では、膣から細い針で卵子を採取し、体の外で精子を受精させます。得られた受精卵を子宮に戻し、着床させることを目指していきます。
顕微授精は、精子と卵子がそれぞれの力で受精できない場合、精子の数や運動性が乏しい場合などに、顕微鏡下で精子と卵子を人為的に受精させます。体外受精では、採取した精子と卵子が受精するのを待つだけであるため、顕微授精とは内容に違いがあります。
不妊治療の内容には痛いと感じるものがある?
不妊治療の内容によっては、痛みを伴うことがあります。不妊治療では、卵管に問題があるケースで、卵管造影検査を行います。卵管の中に造影剤を流して、管の中の通りを確認するため、その際に痛みが生じることがあります。
卵管造影検査の痛みについては、「ひどい生理痛」や「下痢のときの痛み」などと表現されることがありますが、少し下腹部が重い感じがする程度の方もいます。
また、採卵における痛みに関しても強く感じられる方がいます。採卵する数が多い場合などは静脈麻酔を用いますが、無麻酔であれば痛いと感じる可能性があります。ただ、個人差もあり、全く痛みを感じない方もいれば、強い痛みを感じる方もいます。
卵管造影検査と採卵では「どっちが痛いか」という話がされるほど、両者ともに不妊治療の中でも痛みを感じる可能性があるものとなります。終わってしまえばあっという間に感じられることもありますが、繰り返し行う必要があれば、精神的にも肉体的にも負担となるかもしれません。
不妊治療の着床率を上げたいときは着床前診断という方法もある
不妊治療では、体外受精を行うことがありますが、体外受精で得た受精卵を子宮に戻しても必ず着床できるわけではありません。受精卵に染色体異常があれば、なかなか着床できないケースも少なくないのです。
顕微授精の場合は、精子を選んで卵子に受精させますが、このときに形態の異常がなく、運動性の乏しくない精子を選ぶことは可能です。ただ、肉眼で見て選別するにすぎないため、受精卵に異常があり、着床に至れない可能性もあります。
体外受精や顕微授精で得た受精卵の染色体、遺伝子の異常を調べる方法として、着床前診断という検査も存在します。着床前診断は、異常のない受精卵を選んで着床させるため、妊娠後に行う出生前診断とは内容が異なります。
日本では、過去に流産をくり返している、重い遺伝病が子供に遺伝するリスクがあるという条件を満たした人だけが着床前診断の対象となっています。不妊治療を受けていても、これらの条件に合致しなければ、検査を受けることはできません。
しかし、株式会社Cell and Genetic Laboratory(CGL)の着床前診断プログラムでは、誰でも検査の対象となります。受精卵を海外の検査機関に送る仕組みを整えており、規制のない米国の研究所で検査が実施されるためです。この仕組みに違法性はなく、日本国内にいながらにして検査を受けることが可能です。
加えて、希望の性別があれば高い確率で男女を産み分けることも可能です(統計上98%以上とされています)。希望の性別の赤ちゃんが生まれる受精卵で着床することによって、男女産み分けが実現するのです。
不妊治療で体外受精や顕微授精を行うことになったときには、その受精卵を着床前診断で調べるという選択肢もあります。CGLの着床前診断について詳しい内容を知りたい方は、情報収集してみてはいかがでしょうか。